腸の細胞間を開くタンパク質「ゾヌリン」
小麦タンパク質が、腸のバリア機能に影響する機序が分かったのは、2010年ごろ、わりと最近です。
メリーランド大学のファサーノAlessio Fasano教授のチームが、腸の細胞のすき間を開く作用のあるたんぱく質を発見しました。
このタンパク質を「ゾヌリン」といいます。
セリアック病と小麦の関係
小腸の上皮細胞の隣り合う細胞同士は、タンパク質の鎖で絡みあっています。
これを腸のタイトジャンクションと呼びます。
腸のタイトジャンクションに関しては、広島大学での研究が分かりやすいです。
広島大学 大学院 生物圏科学研究科消化管バリア機能と栄養素・食品因子との相互作用
このタイトジャンクションは緩んだり、閉じたりする機能があります。
異物が接触した場合に、腸上皮細胞がゾヌリンを放出、タイトジャンクションを緩めることで腸粘膜の細胞の間に異物を押し込め、兵士である免疫細胞に引き渡しているそう。
セリアック病は、小麦のタンパク質であるグルテン(グリアジン)に反応し、ゾヌリンの分泌が過剰に促進されてしまう自己免疫疾患です。
グルテンは、本来、原種である古代小麦にはないタンパク質であり、小麦の品種改良を行うことで増えていきました。
消化出来ない(消化しにくい)グルテンを、身体は異物として判断しているのかもしれません。
セリアック病の患者にとって、腸粘膜細胞間をおし広げる小麦は絶対除去が前提です。
リーキーガットと小麦の関係は?
リーキーガットは、腸のタイトジャンクションが緩み、異物や未消化物質が吸収されてしまい、様々な症状を引き起こす腸の状態。
発生の機序はセリアック病と似ていますが、原因は複合的。
・アルコール
・コルチゾールレベルの上昇(ストレス)
・医薬品(ピル、抗生物質etc.)
・総合的な栄養不足
・感染性の微生物(生体異物)
・腸内最近叢の乱れ
・胃酸不足
・消化不良
・糖質過剰
など
小麦グルテンによりゾヌリンが分泌され、リーキーガットの要因のひとつになっているのかもしれませんが、小麦だけが原因とは言い切れないところです。
ちなみに、大豆などのサポニンも、ゾヌリン似た科学構造を持っており、リーキーガットを引き起こす原因因子になります。
豆を煮るときにブクブク泡が出ますが、あれがサポニン
昔から豆を煮るときにはコトコト煮込んで「アク」として泡を取り除きますが、日常の食事にアレルギーを起こさないようにする先人の知恵ですね。
小麦との付き合い方
小麦を主食とする国とは食べる量が違いすぎるので、日本人が欧米ほどセリアック病である確率は低いのですが、日本でもグルテンフリーという言葉が一般的になりました。
小麦はリーキーガットの直接原因ではありませんが、やはり注意すべき。
小麦は海外産が9割以上なので、輸入する際のポストハーベストや、パンに含まれる酵母、添加物の影響も大きい。あとは糖質、高GIである点。
もし不調の原因がグルテン不耐性の可能性があるのであれば、グルテンをきちんと消化することです。
パンを食べるなら少量をよく噛んで、自分の握りこぶしより大きい量は食べない。
私は小麦グルテンの消化酵素であるDDP-4が配合された消化酵素「TriEnza」を飲むことで消化の補助をしています。
こちらの商品
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DDP-4は、グルテンとカゼインの消化酵素なので、乳製品でお腹がゴロゴロしがちな人にもおすすめです。
グルテンフリーの麺「きびめん」と「あわめん」
小麦系食品の代替品もさがせば結構あります。
自宅でパスタが食べたいときは「きびめん」
太めの麺なので、ミートソースやナポリタンによく合います。
グルテンがないので、モチモチ感が若干劣りますが、ほとんどパスタそのもの。
夫は全く気がつきませんでした。
きびの麺 200g[ケンコーコム きびめん] |
中華麺には「あわめん」
あわめんで作った担々麺。
中華麺独特のかん水の味がしないだけで、違和感ほとんどなしです。
茹でるときにパスタと同じように塩を多めに加えて茹でるのがコツ
あわの麺 200g[あわめん] |
食事に制限がかかるとストレスになるので、あまりきついルールにせず、口にしてしまったらDDP-4の消化酵素を飲むことで対応してます。
代替出来るものは代替しますが、グルテンにこだわりすぎて添加物だらけのグルテンフリー加工食品を買うことはしてません。
体感する不調があれば除去食が前提ですが、私の場合は、小麦以外の原因が多そうなので、しばらくはこのスタンスを続けます。