高血圧・不眠症はマグネシウム不足を疑う理由

高血圧にはマグネシウム

マグネシウム関連の情報が溜まってきたのでいったん整理します。 

 

マグネシウム補給による血圧の変化について調べた141の論文のメタ解析結果。

Effect of magnesium supplementation on blood pressure: a meta-analysis.

結論、最高血圧、最低血圧、ともに 2~4 と微量な変化ですが、マグネシウムサプリの投与により血圧は低下する

研究中の平均マグネシウム投与量は1日あたり 410㎎

有効性が認めらるのは、1日あたり 370mg以上から。

使っているのはほとんどクエン酸マグネシウム

血清マグネシウムはほとんど変化しないという点も注目ですね。

マグネシウム不足は血液検査で知る方法がないということです。

 

ちなみに日本人の摂取基準量「日本人の食事摂取基準(2015年版)」だと働き盛りの40代男性で1日あたり 310㎎

この摂取基準量、死なないためにはこれくらい必要だよ~という量であって、健康になるための量ではないので、

これを基準に不足している場合はどんだけ不足してんの!というハナシであります。

 

こちら解析でもマグネシウム投与で血圧が下がると言い切っております。

The effect of magnesium supplementation on blood pressure: multivariate meta-regression scenario.

ただし、有意な相関関係を確認するにはちょっとした量が必要らしいですが。

収縮期血圧(いわゆる上の血圧)のほうが有意に下がってます。

 

高血圧の方がよく処方されるお薬(血圧降下剤)が「カルシウム拮抗薬」です。

カルシウム拮抗薬とは、細胞のなかにカルシウムが入ってくるのを邪魔するお薬であります。

 

血圧が高くなる仕組みは、血管の平滑筋がギューっと縮むからです。

血管がギューっとするとき、平滑筋の細胞の中ではカルシウム濃度が高くなっています。

カルシウムが「細胞を収縮させろー」と命令する仕事をしているからです。

細胞の中にカルシウムが侵入してくるのを邪魔すれば、血管が収縮しないから血圧が下がる、

というのが血圧降圧剤の仕組みです。

 

細胞内のカルシウムをコントロールするマグネシウム

マグネシウムは、細胞膜でカルシウムが出入りする門番の役目をしています

血液中から細胞内へカルシウムが入り過ぎたり、カルシウムが細胞内に居座ったりしないよう、細胞膜で管理するのがマグネシウムの仕事

マグネシウムが不足すると、人が殺到して収拾がつかなくなってイベント会場みたいに細胞内にカルシウムがあふれてきます。

 

マグネシウム不足は血管細胞内のカルシウム濃度調整がうまくいかなくなり、高血圧の要因の一つと考えるのが分子栄養学流であります。

 

マグネシウムと言えば、全身の代謝に関わっているミネラルなのですが、

マニア受けは良くても、一般人には重要性の認知度が低くてちょっと不憫な感じ。

例えば、鉄だったら「造血だ、不足すれば貧血だー」とか、

カルシウムだったら「骨だ、不足すれば骨折だー」とか分かりやすい特徴があるのですが、

マグネシウムはあまりに種々多用な作用があるため、際立ったキャラがなく重要性が伝わっておりません。

 

存在感こそ薄いのですが、不足すれば全身の代謝がジワジワ侵されます。

脳にも副腎にも重要なので、ストレスの多い現代人は消耗がかなり激しくほとんどの方は不足状態にあるのですが。

血管の細胞が固くなる理由は、酸化ストレスだったり、糖化だったり、トランス脂肪酸の摂取量の増加だったり、ナトリウム・カリウムのバランスだったり、

マグネシウム不足は高血圧の要因の一つであってすべてではないのですが、

ポジション的にはかなり重要で、かつ不足に対して即効性があると思われます。

上記文献の調査でもほとんど数週間で結果が出ていますので。

 

実兄が循環器内科の医者なんだけど、この辺は聞いてみてもあまり勉強にはならないんですよねえ。

こっそり言いますが専門医って驚くほど栄養に関しては無知ですよ。

普段現場で診てる患者のレベルが違うから、仕方ないんです。

日本もはやくGP(general practitioner)制度に移行すればよいのになあと思う次第です。

医学部にGP科が出来て、そこは分子栄養医学と心理学(カウンセリング)を必須にするとか、

そんな未来が来たら理想なんだけど(妄想

 

マグネシウムは不眠にも良いかも

オモシロイところでは、マグネシウムサプリメントが不眠に効くかもって論文がありました。

Magnesium supplementation improves indicators of low magnesium status and inflammatory stress in adults older than 51 years with poor quality sleep.

 

睡眠の質自体はプラセボ群と有意な差はなかったのですが、体内の慢性炎症レベルが下がっていたという点に注目

慢性炎症あるとメラトニン産生がうまく行われず、キヌレニン酸という興奮系物質に回されてしまうので、

炎症レベルの低下が睡眠の質向上の貢献するのは納得です(参考記事↓)

 

実際に私の周りでも、マグネシウムで寝つきが良くなった、頭痛が良くなったという症例が多く見受けられます。

マグネシウムは多用な作用がありすぎてキャラ立ちしてないと前述したとおり、

不足を解消することで様々な症状の改善に役立ちます。

この辺は理論よりも経験則ですね。

自分のなかでは他のミネラルよりかなり依怙贔屓、溺愛しております。笑

 

食事以外でのマグネシウムの補助ですが、

エプソムソルトやトレースミネラルの利用に加え、サプリメントも積極的に活用してます。

グリシン酸でキレートされたマグネシウム。1錠あたり 100㎎ です。

1日に 1~2錠に飲んでます。

Doctor’s Best, 高吸収マグネシウム、120錠

これに限ったことではないのですが、米国産のサプリメントは粒がデカいんですよねえ。

高齢の父(高血圧持ち)が飲むのを嫌がる・・

 

粒を大きくしたほうが、結果的に添加物も少なくコストも下がるので

ユーザー側でテキトーに対応よろしくーというのが米国流みたいですね。

お年寄り、嚥下障害がある方はサプリメントカッターを使ってみてください

 

 

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