【お餅は胃腸に悪い?】お餅をおすすめ出来ない理由

お餅とご飯の違いは何?

お餅もお米も主成分はでんぷんです。

でんぷんはブドウ糖がたくさん結合してできています。

その結合方法の違いによって「アミロース」と「アミロペクチン」に分かれます。

 

アミロースは、ブドウ糖が直鎖状につながった一本の数珠です。

アミロペクチンは、ブドウ糖が枝分かれしながらつながっています。

 

ご飯(お米)はアミロースを2割程度含んでいますが、お餅(もち米)はアミロースが含まれず、100%アミロペクチンです。

アミロペクチンは枝分かれした部分に水分を抱え込むことが出来るので、モチモチした粘り気のある食感になり、これがご飯とお餅の違いとなっています。

 

お餅は血糖値を上げやすいのか?

お餅のでんぷんを消化するためには、アミラーゼという消化酵素が必要です。

「アミラーゼが消化する」ということは、ブドウ糖の分子がつながった部分を、チョキチョキちょん切っていくということです。

消化酵素アミラーゼは、末端の部分から作用するという特徴があります。

 

アミロースは直鎖上の1本の数珠ですから、末端が2か所しかありません。

ところが、アミロペクチンはたくさんの枝分かれがありますので末端が多い。

 

アミロースは両端から順番に1個ずつブドウ糖が切り落とされていきます。

対して、アミロペクチンは枝分かれがありますので、末端の数が多い。

 

ということは、アミラーゼの作用点が多いアミロペクチンのほうが、より早く糖に分解されやすいのです。

つまり、理論上は「ご飯よりもお餅のほうがブドウ糖になりやすく、血糖値が上昇しやすい」という結論になります。

 

この辺りを研究したエビデンスって無いの?と探したらいい感じのものを見つけました。

「アミロース含有率が糖質食後の血糖応答に及ぼす影響」(2003,九大)

 

7名の健康な成人男性に糖質75gに相当するご飯235gとお餅139gを食べてもらったときの、食後の血糖値とインスリン量の推移の比較です。

左が血糖値、右がインスリン。

この結果から、もち米よりお米のほうがやや血糖値が上がりやすい、もち米の方が血糖値が下がりやすい、と言えるかもしれませんが、ぶっちゃけほとんど変わらん!という印象です。

お餅とお米、食後感の違いは、血糖値を上げやすい云々のハナシではないと思います。

「お餅は腹持ちが良い」のは本当か?

お餅は「腹持ちが良い」と言われます。

「腹持ちが良い」ということは、血糖値の急上昇・急降下を起こさないということです。

 

しかし、上記の研究結果をみても分かるとおり、お餅とご飯で血糖値と血清インスリンの差は顕著ではありません。

でも、お餅とご飯、明らかに食後の感じが違いますよね。

 

この「お餅は腹持ちが良い」と言われる理由ですが、単にたくさん食べすぎのせいじゃね!?と思います。

咀嚼が要るのか要らないのかよく分からないペースト状の物体、これにお正月というのんびり感が相まって、たくさん食べがちなだけかと。

お餅は潰して捏ねて丸めてますからね(ご飯1膳分が小さいお餅1個に相当します)

 

「お餅は消化に良い」は本当か?

お餅は、消化酵素アミラーゼの作用点が多いので、ブドウ糖になるスピードが早いです。

ということは「お餅は消化に良い」と言えそうです。

 

いやいやちょっと待った。

それは、消化酵素アミラーゼが潤沢に用意されている場合のおハナシですよ。

 

消化酵素アミラーゼには、唾液由来のものと膵臓由来のものがあります。

ここ★でも書きましたが、消化酵素は原料としてタンパク質をたくさん必要とします。

タンパク質の状態が良い、つまり膵液も唾液もしっかり出る方にとっては「消化に良い糖質源」でしょう。

 

しかしながら、消化液の産生が少ない方(タンパク質の状態が悪い方)にとっては、より大量のアミラーゼが一気に必要とされますから、身体に負担がかかります。

 

普段からクライアント様の血液データを診ている私は、血清アミラーゼが個々人によって相当なばらつきがあることを知っています。

消化力は個体差が激しいのです。

よって、消化酵素がスピーディ、且つ潤沢に用意できない人にとっては「身体に負担のかかる糖質源」です。

 

ちなみに、私は後者です。

お餅を食べると身体が重くて仕方がありません。お餅コワイ。

お餅は炎症を促進する食べ物

私がマクロビに凝っていた当時、お餅(もち米)は身体を温める陽性の食品だと学びました。

だからお餅は正月(冬)に食べるのです。

 

それに対してご飯(うるち米)は中性なので、陰にも陽にも振ることはありません。

ご飯が季節を問わず万人に適した主食であるとされる理由です。

 

お餅は陽性の食品なので、身体に熱を持たせます。

「熱」つまり「炎症」です。

ですので、東洋医学ではニキビやアレルギー、関節痛、ガンの方には餅は禁忌とされます。

 

西洋医学的に考えれば「軽微な炎症反応を起こす食品であるがゆえ、身体を温める陽性の食品」という解釈も成り立つでしょう。

お餅は、消化管の炎症を促進するのです。

私がお餅をおすすめしない一番の理由はこれです。

 

リーキーガットなど消化管の炎症がある方にお餅は向きません。

現代はストレス社会で交感神経優位にふっている方が非常に多いです。

交感神経優位の方は、消化管に炎症が起こっています。

 

この現代でお餅を好きなだけ食べていい方はほとんどいないと思います。

添加物や人工甘味料、トランス脂肪に遺伝子組み換え、普通に生活していて消化管に良い食生活を送っている方なんてマジでいませんから。

 

また、餅は水分をため込む作用があるので、浮腫みのある人や痰の出る人には向きません。

水分を排泄する作用のある小豆と組み合わせるのはそのためだとも言われています。

 

要はですね、お餅はちょっとクセのある注意すべき食品ということです。

お正月のお餅、祝い膳のお赤飯など、日本人は古来よりもち米をハレの日の’特別な食べ物’としてとらえてきました。

もち米とうるち米(普通のご飯)、栽培にかかる手間は同じであるにもかかわらず。

お餅(もち米)は、普段から常食すべきものではないことを歴史が証明しているわけです。

 

ちなみに、、私は正月3日間、お餅を少量食べたら腸の調子がめちゃくちゃ悪くなってしまいました。

「あー、消化管が炎症方向に振ってしまったなー」と反省してグルタミンと百草丸でせっせとケア中です。

分子栄養学的「お餅」の考察・まとめ

まとめます。

・お餅は消化酵素を多く必要とし、胃腸に重い食品である。食べすぎに注意すること。

・お餅は炎症を促進するので、リーキーガットやSIBOなど消化管に問題がある場合はたしなむ程度にすること。アレルギー体質、ニキビ、アトピーの方も同様。

 

以上、分子栄養学カウンセラーとしての「お餅」に関する考えをまとめました。

身体のメンテナンスに気を配る方におかれましては、お餅とは上手に付き合っていただきますようお願いいたします。

 

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